結論
- クリニックのSNSは医療広告ガイドラインの対象です。一般業種と同じ運用をすると、集客の前に表現でつまずきます
- 外注先を選ぶ基準は実績の見栄えではなく、「投稿前に誰がどう表現をチェックするか」が仕組みとして決まっているかです
- 規制で使えなくなるのは主に「効果を見せる」表現です。残された打ち手は十分にあります。何が使えて何が使えないかを先に整理してから発注してください
以下、発注前に確認する項目と、投稿で避ける表現を具体的にまとめます。
1. 前提:クリニックのSNSは広告として扱われ得る
医療機関の広告は医療法で規制されており、厚生労働省が運用の指針を示しています。ウェブサイトやSNSも対象に含まれます。
ここで問題になりやすいのが、SNS運用を外部に任せたときに、投稿の表現を誰も確認しないまま公開されることです。運用代行会社の担当者が医療分野の経験を持たない場合、一般的な集客の型をそのまま当てはめてしまいます。
投稿の責任は医療機関側に残ります。だからこそ、外注先の選定基準に「チェックの仕組み」を入れる必要があります。
なお、個別の投稿が規制に該当するかどうかの最終的な判断は、各医療機関と所轄の行政庁に委ねられます。この記事は判断の材料を整理したもので、法的な助言ではありません。
2. 外注先に必ず確認する7項目
| # | 確認する項目 | 見るべきポイント |
|---|---|---|
| 1 | 医療分野の運用経験 | どの診療科を、どのくらいの期間担当したか。件数より継続期間を聞く |
| 2 | 投稿前チェックの担当者 | 誰が確認するか。制作者本人だけの自己チェックになっていないか |
| 3 | チェックの基準書があるか | NG表現の一覧が文書として存在するか。口頭運用は再現しない |
| 4 | 院長・担当医の確認フロー | 公開前に医療側が見る工程が契約に入っているか。何営業日みるか |
| 5 | 指摘が入ったときの修正範囲 | 表現修正が何回まで無償か。作り直しの線引き |
| 6 | 過去に指摘を受けた経験 | 「一度もない」より、受けた経験があり再発防止をどうしたかを語れる方が信用できる |
| 7 | 撮影素材の取り扱い | 院内・スタッフ・患者が写り込む素材の同意と保管をどう管理するか |
特に3番と4番が要点です。チェックが個人の記憶に依存していると、担当者が替わった瞬間に品質が落ちます。文書と工程で担保されているかを確認してください。
3. 投稿で避ける表現
実務で問題になりやすいのは、次のような「効果を見せる」表現です。運用代行会社の基準書にこれらが入っているかを確認してください。
| 避けるもの | なぜ問題になるか |
|---|---|
| 施術前後の比較写真 | 受け手が効果を誤認しやすいため、扱いに条件がある |
| 治療の結果を断定する言い方 | 効果には個人差があり、断定は誤認を招く |
| 患者の感想・体験談 | 個人の感想が一般的な効果と受け取られる |
| 他院との優劣を示す言い方 | 客観的な裏づけを示しにくい |
| 「日本初」「最高」などの最上級 | 根拠の提示が求められる |
| 費用の一部だけを見せる表示 | 総額が伝わらず誤認につながる |
これらを外注先が知らないまま運用すると、投稿してから消すという一番損な形になります。消した投稿はアカウントの評価も持っていきます。
実際に当社の投稿前チェックで最も多く止まるのが、この「効果を断定する言い方」です。悪意があって書かれるものではなく、良さを伝えようとした結果として自然に出てきます。だからこそ、書く人の注意力ではなくチェックの仕組みで止める必要があります。
4. それでも使える切り口
効果を見せる表現が使えないと、打ち手がなくなるように感じるかもしれません。実際には、判断材料を求めている人に届く切り口が残っています。
- 人を出す:誰が診るのかを見せる。経歴・専門分野・考え方。来院前の不安は「何をされるか」より「誰にされるか」で下がります
- 過程を見せる:予約から当日の流れ、所要時間、痛みの程度の説明、アフターケアの体制
- 判断材料を出す:どういう人に向く施術か、向かない場合はどうか。適応外を語れる医院は信用されます
- 院内の様子:清潔感・プライバシーへの配慮・待合の雰囲気
- 費用の考え方:総額でいくらか、何が含まれるか
いずれも効果を約束しません。それでも「ここなら聞いてみよう」という判断は十分に作れます。
今の運用が表現面で大丈夫か見てほしいという段階でも構いません。初回のオンラインヒアリングは無料です。→ お問い合わせ
5. 契約前のチェックリスト
ここまでを1枚にまとめます。商談の場でそのまま使えます。
□ 医療分野の運用経験と、担当した診療科 □ 投稿前チェックの担当者(制作者と別か) □ NG表現の基準書が文書で存在するか □ 医療側が公開前に確認する工程が契約にあるか(何営業日) □ 表現修正が何回まで無償か □ 過去の指摘経験と、その後の再発防止策 □ 院内・スタッフ・患者が写る素材の同意と保管の方法 □ 契約終了後にアカウントと素材が自院に残るか
最後の1項目は医療に限らず共通の落とし穴です。アカウントを代行会社側で作られていると、契約終了と同時に使えなくなることがあります。アカウントは自院で作り、代行会社を管理者として招待する形にしておいてください。
発注全般の判断基準は別の記事にまとめています。
SNS運用代行の選び方|発注前に確認する10項目と費用の見方
よくある質問
症例写真は一切使えないのですか
扱いに条件があります。判断は個別になるため、掲載を検討する場合は所轄の行政庁や専門家にご確認ください。本記事は判断材料の整理であり、法的な助言ではありません。
外注先が医療分野に詳しいかは、どう見分ければいいですか
担当した診療科と期間を聞き、NG表現の基準書が文書で存在するかを確認してください。口頭運用は担当者が替わると再現しません。
チェックはこちらでもしたほうがいいですか
はい。医療側が公開前に確認する工程を契約に入れてください。何営業日みるかまで決めておくと運用が回ります。
一般的な発注の判断基準も知りたいです
業種を問わない選定基準は SNS運用代行の選び方 に10項目でまとめています。
まとめ
- クリニックのSNSは広告として扱われ得る。一般業種と同じ運用は当てはまらない
- 外注先は実績ではなくチェックの仕組みで選ぶ。基準書と確認工程が文書化されているか
- 効果を見せる表現は使えないが、人・過程・判断材料という切り口が残っている
- 個別の投稿の適否は各医療機関と所轄行政の判断になる。この記事は判断材料であり法的助言ではありません
当社は医療分野を含む幅広い業種のSNS運用を支援してきました。初回のヒアリングはオンラインで実施し、費用はいただいていません。「今の運用が大丈夫か見てほしい」という段階でも構いません。
